月: 2020年11月

APx500で得られる結果

APxソフトウエアで測定できる共通なデータとしては、メーターによる結果です。

例えば、図1aに示しているような、一周波数に対するLevel and Gainの利得の値のようなものになります。図1bのような周波数応答測定の変位する周波数に対して、利得の推移を表すものもあります。また、インピーダンス測定のThiele-Smallパラメーターを使った結果表示は表形式で示されるものもあります。シーケンスモードによる測定では、全ての一次結果はプロジェクトに加えられる際に、有効となります。

図1. Examples of a Primary Meter Result (a) and XY Result (b) in the APx500 software

APx500ソフトウエアで得られる結果を説明する為に、ヘッドフォンの周波数応答の測定に、HATSと呼ばれるテスト機器を使うこともあります。図2はHATSを使って5回のRMSレベルの測定を行った結果を示しております。今回の測定では毎回ヘッドフォンをHATS機器から着脱を行いながら、測定しております。この際、ヘッドフォンの設置位置が重要な要素となります。この空間平均を取得する手法はヘッドフォンのテストの際には実用的な方法として利用されます。

図2. Gras社Kemar HATS機器を使ったアコースティック測定

この平均空間の他に、データ列から計算してマトリックスを生成することも出来ます。

以下はその生成手段の例です。

・グラフの下のFilm Stripの部分にカーソールを置き、右クリックを行い、Add Derived Resultを選択します。

・測定結果から、Addボタンをクリックし、Derived Resultを選択します。

・プロジェクトメニューからAdd Derived Resultを選択します。

Add Derived Resultを開くと、図3aのようなダイアログが開きます。ダイアログでは、ソースの制御やどのデータ、結果を選択し、新しい結果として引き出すか等選択ができます。

図3. The Add Derived Result dialog, showing (a) the Derived result pulldown menu, and Options sub-menus for (b) Min/Max Statistics, (c) Normalize/Invert, (d) Specify Data Points and (e) Smooth.

Add Derived Resultのダイアログにある、Derived controlはプルダウンメニューとなっています。

メニューのリストは、かなり細かい内容となっています。図3(b)(c)は最小/最大の状態を示すような選択ができます。

ヘッドフォンの測定データに戻りますと、図4は左右の空間平均値を示しています。このケースでは、図2のRMSレベル結果から派生される平均電力値が得られます。これを図5に示しました。

図 4. Spatial average of 5 measurements for the Left and Right earphones; Power Average results derived from the data in 図2.

図5. Derived Result Settings for the Power Average Derived Result in 図 4, and Result Specification for the Left Avg trace.

ヘッドフォンの品質における重要な事は、左右のヘッドフォン適合の周波数応答がどこまで一致しているかです。図4の空間平均データセットから得られたCompare Derived Resultを追加することで簡単に数量化できます。これにより、図6の左/右トラックグラフが生成されます。これは、ヘッドフォンの場合、左右のイヤフォンが約 100 Hzから8 kHzで±3 dB(完全に一致すると0 dBでフラットラインになります)。 図7に示すように、この結果は、Ch2の平均化された曲線をCh1の平均化された曲線と比較する比較結果となっています。。 比較結果は、滑らかな結果から得られ、次に電力平均結果から得られ、次にRMSレベルの主要結果から得られています。 このように、任意の数の派生結果をチェーンできます。

図6. Left/Right Track result created using a Compare Derived Result.

図7. Settings for the Compare Derived Result used to create the Left/Right Track result in 図 6.

次に、Meter Derived Resultについて考えてみましょう。 各イヤホンの出力を数値化するために単一の数値を得ようとします。その際、 特定のデータを使用して、500 Hzなどの基準周波数での周波数応答曲線の値を取得できます。 ただし、ヘッドフォンの周波数応答曲線は周波数によって変化するため、図8に示すように、中周波数範囲、たとえば500 Hz〜2 kHzのレベルの電力平均を検討する方が適切な場合があります。この結果は、 図4の空間平均の結果からデータポイントの結果から、周波数範囲内の左右の平均レベルの曲線を生成します。 次に、最小/最大統計–単一値–電力平均結果が、この中間結果から導き出されます。

図 8. Power averaged response from 500 Hz to 2 kHz.

発生結果は、測定データから情報を収集するのに役立つ優れたツールです。

詳細は以下のサイトを参照願います。